絵本の森

『くうたん』──不思議な生き物、くうたん

あらすじ

ある朝、こうたくんは、庭でタマゴを見つけました。
朝のことだったので、お母さんが「ご飯を食べなさい」と言うので、こうたくんはそのタマゴをおもちゃ箱の引き出しにしまって幼稚園に行きました。

幼稚園から帰って来ると、タマゴから赤ちゃんが孵っていました。
その不思議な生き物は、「くぅくぅ」とかわいい声で鳴くので、こうたくんは、その生き物に「くうたん」と名前をつけました。

くうたんを見せると、はじめは驚いたお母さんでしたが、かわいい鳴き声に牛乳を温めてくれました。

けれど、くうたんは日に日に、大きくなっていって……。

 

不思議な生き物、くうたん

朝、庭で、正体不明のタマゴを見つけたこうたくん。
こうたくんは、そのタマゴを、おもちゃいれの引き出しに入れる。

なんてとこに正体不明のタマゴを入れるんだ……。

幼稚園から帰って来ると、たまごから、赤ちゃんが生まれていた。
見た目、でっかい青いナメクジのように見えるが、鳴き声は「くぅくぅ」とかわいらしい。
こうたくんは、それを「くうたん」と名付けた。

それをお母さんのところに持っていくと、お母さんは……

「まあ、そんなの おうちに
いれないで。」

……えっ、そういう程度のことなの!?
息子が正体不明のなんかよく分からない青い生き物を持っているのに!?

しかもお母さん、くうたんが「くぅくぅ」とかわいい声で鳴くので、牛乳を温めて飲ませてくれた。
かわいいって計算高いんだな……。

 

次の日、くうたんが目に見えて大きくなっている。
たった一日経っただけで、目に見えるほどでかくなっている時点で、そろそろヤバイ感が出てきてもいいはずなのに、わりと何の抵抗もなくくうたんを受け入れていくこうたくん一家。

くうたん、日ごとに育ちまくって、おとな何人分?っていうところまで来ている。
さすがにでかく育ちすぎて、家の中がくうたんでいっぱいになって初めて、初めて、お母さんたちが相談を始める。

「どこかに ひきとってもらったほうが いいかしら」

どこかに……ってどこに……?
政府の機関的などこか……?

というか、お母さん達危機感持つの遅くない……?

そんな矢先、くうたんが蛹モードに突入。
お父さんは決意する。

「あした、しょうぼうしゃか
きゅうきゅうしゃか けいさつに
きてもらって、どうぶつえんか
すいぞくかんか はくぶつかんに
もっていってもらおう。」

お父さんもくうたんを分類できなくて困ってんじゃん……やっぱり……。

さて、蛹から、一体、どんなくうたんが出てくるのか。
恐ろしい怪物だったらどうしようと一抹の不安を抱えながら、こうたくんは眠る。

 

翌日、朝早く、くうたんの羽化が始まった。
現れ出たのは、真っ白なナメクジ形に羽が生えたかのような姿のくうたん。

サイズが……1/10ぐらいになってない……!?
鳴き声も「くぅくぅ」とかわいいままとは、計算高い……!

ふわふわと空をとぶくうたんは、お母さんが窓を開けたときに、外に出て行ってしまう。
そのまま、くうたんは帰ってこなかった。

 

お母さんは落ち込んでいるこうたくんのためにか、くうたんの抜け殻で、くうたんのぬいぐるみを作ってくれる。

抜け殻で……
えっ……そんなぬいぐるみが作れる感じの触感の抜け殻だったの……?
カチカチになってるって蛹モードでは言われてたけど……。というか、そんな正体不明の抜け殻でぬいぐるみ作って大丈夫? かぶれたりとか大丈夫……?
そしてお母さん、くうたんの抜け殻が大量にあるからといって、ぬいぐるみたくさん作りすぎだよ!

それでも元気の出ないこうたくん。
ぼんやりと空を眺めている。
すると──なんと、そこには大きくなったくうたんが……!

家族をつれてやってきた!

すっごい短い間に伴侶見つけて子どもも作って……くうたんすごいな……。
再会をよろこぶこうたくん一家。

めでたしめでたし……

 

……それで、くうたんって何者だったんだ……。
人間に悪意のない何かでいいのかな……。
もう一度戻ってきて家族を見せてくれたってことは、ちょっとはこうたくん一家に恩義を感じていたのだろうか……。

 

不思議な生き物くうたんの成長

不思議な生き物のくうたんが大きくなっていき、そして成体になり、出て行き、また戻ってくるというお話。
くうたんという謎の生き物が何故タマゴで転がっていたのかは不明。
低学年、幼児向け。