あらすじ
マフィンおばさんのパン屋さんのパンは、町の人に大人気。
だから、いつも大忙し。
マフィンおばさんと一緒に住んでいるアノダッテという男の子は、そんなパン屋さんの仕事を手伝います。
あるとき、忙しそうにしているマフィンおばさんを見て、アノダッテは「自分もパン作りを覚えたら、マフィンおばさんも楽になるのではないかな」と思います。
その夜、アノダッテは、こっそり、パンを作り始めますが……。
……そんな生地をたくさん作って大丈夫?
大きな大きなパンが焼きあがる
絵本に出てくるパンというのは、どうしてこう、おいしそうなのだろうか。
パンだけではない。食べ物はみんなおいしそうだ。
この絵本に登場するパンも……とてもおいしそうだ。
本書は、マフィンおばさんのパン屋さんに住んでいる、アノダッテという少年が主人公である。
アノダッテ、なんていう変わった名前をしているから、海外絵本なのかと思ったら、そうでもなかった。どうしてアノダッテという名前をつけたのか、読み終わると何となく、理由が分かる気がする。
マフィンおばさんのパンはとても人気。だから、パン屋は大忙し。
パン屋を手伝っていたアノダッテは、それを見ながら、「自分もパン作りを覚えたら、マフィンおばさんもずっと楽になるのでは」と考える。
そう考えたところまでは、健気でとてもよかった。
いやいや、アノダッテは、最後の最後まで、「マフィンおばさんのために役に立ちたい」という気持ちがあったのだから、基本的に誰も悪くはないのだ。アノダッテが、ちょっと、やりすぎただけで。
マフィンおばさんのために、パンを作るアノダッテ。
生地も、町の人みんながいっぱい食べられるようにたくさん作ります。
うん、アノダッテ。
みんなが食べられるように、っていうところは間違ってない。
でも、だからといって、一つの生地を焼いてみんなの分をまかなおうと考えたところがちょっと、違うかなー……?
もくもくもくもく、アノダッテ作のパンがかまどで大きく膨らむ。
それは常識を超えて、家いっぱいに膨らんでいく。
アノダッテとマフィンおばさん、屋根裏部屋まで避難。そうしないと、膨らみ続けるパンに飲み込まれてエライことになってしまいます。
そこまでもくもく膨らみ続けていたら、家の耐久度に不安が残りますが、絵を見る限り、家は無事だった模様。
心が温かくなるのは、アノダッテの気持ちを見抜いてか、マフィンおばさんがアノダッテに言った言葉。
「あたしも、こんな おおきな ぱんを
やいてみたいと おもっていたんだよ」
アノダッテの大やらかしに叱るでもなく、そううそぶく彼女は、アノダッテの本当の気持ちを見抜いていたに違いない。
ここに、マフィンおばさんのアノダッテを優しく見守る姿がうかがえる。
私だったら、つい、「何してんの!」と怒ってしまいそうだ……。
あたたかな気持ちになれる絵本
パンがどんどん膨らんでいって……という、夢のある展開をする本書。
アノダッテの一生懸命さが、「マフィンおばさんが楽になるように」という理由なのもかわいらしい。
幼児、低学年向け。
文章が多いので、読み聞かせするといいかもしれない。