あらすじ
魚のおいしいレストランと評判のレストランをしている、ミントとバジル。
魚料理のおいしさは人気で、レストランは繁盛していた。
しかし、あるとき、婦人のお客が来て言った。
「わたし、おにくがたべたいわ」
え!?
ここは「魚のおいしいレストラン」。
肉料理を置いていない。困った二人は、その旨を説明するが、夫人は、ただ肉料理が食べたいと言い張るばかり。
仕方なく、バジルは材料を探しに出かけるが……。
魚のおいしいレストランに、何故そんな注文を……!?
表紙の驚き顔に「どうしてそんな顔をしているの?」となるこの一冊。
その理由は、中身を読むと分かる。
さかなのおいしいレストラン。
魚がおいしいということなのだから、お客さんも魚料理を食べに来る。恐らく魚料理以外のメインになるメニューはないものと思われる。
それなのに……
そのレストランにやってきたのは……
お肉が食べたいという客!
えっ、お肉料理だって!?……というのが、表紙のみんなの顔。
レストランを経営するミントとバジルは困ってしまう。「当店には肉料理がない」と説明し、オススメの魚料理を紹介するも……
「いやよ、そんなの。わたしは おにくが たべたいの。
たべたいったら、たべたいの!」
ワーオ、立派なクレーマーである。
「魚のおいしいレストラン」に何故にわざわざ肉料理を食べに来たのか。肉のおいしいレストランに行けばいいものを……クレーマーの考えていることは謎である。最初から難癖をつける気だったような気がしてならない。
仕方ないので、お肉を調達しにいくバジル。
肉料理がメニューとしてないので、材料を調達しなければならない……つまり、それは、誰かの肉を調達してくるということである。
バジルは、出会ったヤギに、こうお願いする。
「(前略)だから ぼくに、あなたの その 足を
きりとってくれませんか。
きっと おいしいソテーに するから」
とんでもないお願いである。
おいしいソテーにされようがどうされようが、足を切り取ってくれと言われて、喜んで!と答えるわけがない。
ヤギは案の定驚いて、
「そんなこと されたら かなわないよ。
岩山を のぼれなくなってしまうからね。(後略)」
いや、それ以前の問題ですやん。
痛いですやん。下手したら死にますやん。
その代わりにと、ヤギはヤギの乳でできたおいしいチーズをくれるのであった。
ヤギ、本当にいいヤギだ。
そうやって、いろんな動物のところに行って、「あなたの肉をください(意訳)」とお願いしていくバジルだが、誰一人として「いいよ!」と言ってくれるわけもなく(当然だ)、そのたびになぜか「代わりにこれを」と言わんばかりに料理の材料をもらうのであった。
肉料理が用意できないと悟ったバジルはしょんぼり顔。
だけど、ミントはもらった材料できっと何か作れると励ます。
そうして、できあがったのは──。
クレーマー肉料理を食べたいと駄々をこねた客は、現金なもので、できあがった料理の匂いにつられて、簡単に前言を撤回する。
代わりに、バジルが作ったその料理を食べたいったら食べたいの!と駄々をこね始める始末。
お、おまえ……!
誰のせいでこんな苦労をしたと……!
……と言いたいところをぐっとこらえて(こらえたのかどうかは本の内容だけでは分からないが)、ミントとバジルは肉料理を出せなかったおわびにサーモンのパイをお土産に包んであげたので、そのお客は上機嫌で帰って行ったとのこと。もう二度と来んな
飲食業って……
大変なんだなあ……。
物語を読ませる絵本
話の展開がしっかりあるので、物語を読ませるタイプの絵本である。
あなたのお肉をくださいと言ってまわるさまはなんともいえない気持ちにさせるが、最後にはスマートに話が完結して、安堵する。
最後に、心ある協力者たちとお茶をする場面はホッとした気持ちになる。
起承転結がはっきりしたこのお話は、読み聞かせに向いているだろうが、やや話が長く感じられるので、低学年向けだろう。
物語としても面白いので、一人読みにも勧めたい。