あらすじ
肉を持った鳥が岩山に肉を隠します。鳥は、「あなた」に向かって、ちゃんと見ておいてくれよ、と言い残して、去っていきます。
そして鳥が一眠りして、肉を隠した岩山に行くと……
なんと、肉がなくなっているではありませんか!
「ちゃんと見ててって言ったのに!」と怒った鳥は、自力で肉泥棒を探す!と言い出します。
そして、鳥は、いろんな動物を疑いますが……。
現場を見ていた「あなた」は、犯人が分かりますか?
参加型絵本
メタ要素が面白い一冊。
本を開くと、早速肉食の鳥が、「甘、本を読んでいるあなた」に語りかけてくる。
最初から、こういうふうに読み手に直接話しかける絵本は珍しいかもしれない。
そうやって、否応なしに、読み手はこの絵本の参加者になってしまうのだ。
鳥は、エサである肉を、明日食べる分として、岩山のふもとに隠す。
そうして、「これを見張っておいてくれよ」とあなたに言い残して、眠りに行ってしまう。
そこにちらりと覗く、狐の姿。狐は、肉をくわえてどこかに行ってしまう。
一眠りして、目覚めた鳥は、自分の肉がなくなっていることに気づく。
「あなた」に見張っておいてくれって頼んだのに、と腹立たしい様子。
鳥は肉泥棒を探そうと必死になる。
いろんな動物を問いただすが、肉の行方が分からない。
挙句の果てには、肉を隠した場所をしていた人物は、「君しかいない」と、「あなた」が犯人だと言い出す。
しかしその可能性を否定する鳥の言葉が面白い。
つい、カッとしちゃって、まさか きみが ほんのなかのにく
ぬすめるはず ないよね。ぼくって あわてんぼうだねえ……。
鳥はどうやら自分の世界が「本の中」であると分かっているらしい。
メタ要素、面白い。本の中、本を読んでいるあなた、とはっきり提示されている上に、それを基本として物語が進んでいくのが面白い。まるで本の中の鳥と喋っているかのような、楽しい錯覚を起こす。
肉泥棒を自力で探すことを諦めた鳥は、「あなた」に助けを求める。
ねえ、見てたんだから知っているだろ?というわけである。
ここで「あなた」は、肉を持っていく姿を目撃した「きつね」を犯人だと言うことだろう。
肉をくわえて立ち去る場面が描かれていたのだから。
そうして、鳥はきつねをこらしめようとするが……
きつねは自分はやっていないという。しかも、あれは自分の肉だと訴える。
──このほんの 4ページ、5ページ、そして6ページ、7ページを
もっと よく みなおして ごらん!
すると、肉は、同じような岩山にちゃあんと残されていたのであった。
つまり、鳥は、隠した岩山の場所を勘違いしていたというわけだ。
……というオチなのだけど、きつねがあんまり具体的にページ数を言うので、思わず、さかのぼって該当のページを見たが、「なるほど、そうか!」とならないのは……私の観察力が欠けているせい……なのか……?
今回の絵本、普段の五味氏のイラストと少し画風が変わっていて、主線がはっきりと描かれている。
五味氏らしさのある造形の動物たちがたくさん登場するが、いつもと一味違っていて、味のある絵柄である。
読み手に語りかける絵本
読み手に語りかける形をとっているこの絵本は、読み聞かせ映えするだろう。
大勢に向けて読んでも盛り上がると思う。
幼児、低学年向け。