あらすじ
パンが好きな少年、パンタ。
ある日、町に出ると、「パンの木」の種が売られているを見つけます。
パンが好きなパンタは、それを買って帰り、早速植えることにしました。
一生懸命世話をしたおかげか、パンの種は芽を出し、木になり、パンの実をつけました。なんと、メロンパンが生ったのです！
さあ、収穫して食べてみようというときになって、カラスが飛んできて、木に生ったメロンパンがすべて取られてしまいました。
しょんぼりしたパンタでしたが、種がまだあったので、今度は違う場所に植えることにしました。
さあ、次は、どんなパンがなる木が生えてくるのでしょう……。
木にパンができるという、不思議な世界
パンが好きな少年、パンタ。
分かりやすいネーミングでいい。
少年は、サンサン村というところで家族と一緒に暮らしているという。
パンタはパンが大好きなので、おやつもパンを食べる。
あるとき、街に出たパンタは、「パンの木」という種を見つける。
パンが好きなパンタは、早速その種を買って帰ることに。
しかし、絵で見るかぎり、この「パンの木」を売っているお店、妖しいことこの上ないのだが……
店の名前は「いろいろや」。
「パンの木」の種以外に、「のん木」、「げん木」の種？を売っている。
怪しい。この店は信用してはいけないタイプの店の匂いがプンプンしている。
そんなお店から買った「パンの木」の種、大丈夫か？
帰ってきたパンタは、早速、パンの実を植える。
一生懸命パンの木の世話をするパンタ。
その甲斐あってか、パンの実は、見事パンの木になり……なんと、メロンパンの実をつけたのでした！
しかし……
メロンパンを収穫しようとした矢先、パンはカラスに奪われていってしまったのだった……。
パンくいきょうそうを
していた カラスたちが、つぎつぎに
パンを とってしまいました。
人の一生懸命育てたパンをパン食い競争なんかの景品にするなよ……。
かわいそうなパンタ、一生懸命育てたのに、パンの木のパンにありつけず……。
それでもくじけずに、パンタはパンの実を植える。
パンの木はそのたびにパンの実をつけるのだが、パンタがさあ食べようとすると、決まって、奪われたり横取りされたりして、パンにありつけない。
何だかかわいそうになってくる。
そして最後に残っていたパンの実も、パンの木になってパンに育つも、ネズミたちにみんな食べられてしまう。
最後の実だから、生ったパンはみんなで食べよう、と思っていたのに……。
「おかあさま、この パンを たべたいでチュわ」
ネズミの かぞくです。
「そうね。わたくしたち 町の ネズミには、これくらい
めずらしい パンじゃなきゃ、口に あいませんことね」
「そういえば、この 村に きてからは、ありきたりの
パンしか 食べてなかったからなぁ」
と、おとうさんネズミ。
「じゃあ、えんりょなく ごちそうになりましょう」
「やったでチューッ！」
「やったでチューッ！」じゃないよ。
「えんりょなくごちそうになりましょう」じゃないよ。
何勝手に人の木に生ったパンを食べてんだ！！！！！
何だか、パンタがかわいそう……というか、パンを取っていく者たちを見ていて、だんだん腹が立ってくる。
パンタもパンタで、ネズミに全部パンを食べられたというのに、
「あーあ。パンが ぜんぶ、なくなっちゃった……」
パンタは、あきれたように、木を 見あげました。
なんで速攻諦めモードなのか。怒ろうよ！ その権利ぐらいはあると思うよ！？
やられて嫌なことはイヤって言わないとダメなんだよ！？と言いたくなって来る。
結末は、パンタがパンの木のパンを食べられていないだろう、と慮った村人達が、パンタのためにパンを焼いてくれた、という結末を迎える。
何だかハッピーエンドのような気もするのだが、絵を見ると、パンを取って行った者達もちゃっかりご相伴に預かっていて、何だか納得いかない気分になる。
みんなで仲良く食べられてよかったね、ということなのだろうが……。
パンの木 パンの木、
パンの木の パンは、たべられなかったけど、
パンの木 パンの木、
ぼく、とっても しあわせパンの木 パンの木。
ステキな プレゼントを もらったよ。
パンの木 パンの木、
いっぱいの ありがとう
パンタ本人は幸せだと思っているようだし、村人たちの心の温かさという最高のプレゼントもらったので、めでたしめでたし……というところなのだろうか。
パンの木は、パンタに幸せをくれた。パンをみんなで食べる場面は、本当に嬉しそうだ。
でもやっぱり、パンタ、怒るところは怒ったほうがいいと思うなぁ……。
最後のページでパンを運ぶネズミ一家、本当に図々しいな！
木にいろんなパンがなる
パンの実を植えるたびに、ほかに生ったパンをとられてしまう……という反復の物語。
生ったパンはどれもおいしそうだが、パンタの口に入ることはない。
しかし、パンタの努力は、村人の心遣いによって、パンタにパンを作ってくれるという結末を呼ぶ。
それも、穏やかなパンタの人望があってのことなのかもしれない。
低学年向け。
