あらすじ
みなさんもご存知の「巣箱」。
これが世界各国で設置されるようになった理由を知っていますか?
最初は鳥を捕まえるための罠だった巣箱が、どうして鳥達の棲み処になったのか。
巣箱の歴史を通じて、共存していくことの大切さを考えよう。
巣箱はどうしてできたの?
恥ずかしながら、巣箱を設置するのは鳥好きのかたが、鳥のためにと日曜大工か何かでご趣味でやっているのだろうと思っていた。
今現在では、そういった意味合いで設置するかたも多いのかもしれないが、その「巣箱」に、こんな歴史があるとは知らなかった。
最初は鳥を捕まえるための罠だったのだという。
それを、鳥好きのベルレプシュ男爵が、大の鳥好きのために、「巣箱」として設置したのが、巣箱の始まりらしい。
本書は、「巣箱」の歴史を、分かりやすい文章で教えてくれる。
鳥好きの男爵が、もっと自分の森に鳥が遊びにきてほしいとあれこれ頑張る姿に、鳥への愛を感じさせる。
私はとりはさほど好きではないので、「もっとたくさん見られたら最高だよねー」という気持ちには深く共感できないが、男爵の愛の深さは伝わってくる。
鳥のため、数千個の巣箱を作る男爵。鳥にとっては頼もしい限りだろう。
そんな男爵の鳥好きが取った行動が、思わぬ効果を生み出す。
そうして、「巣箱」は世界中に広まっていく……そこには、男爵の鳥への愛ほどの気持ちは詰まっていないだろうが、動物と共存していく確実な一歩だったことは確かだ。
どうすれば、もっと鳥が森に遊びに来てくれるだろう?と鳥の立場に立って考える男爵からは、私たちも日常生活に接する鳥達への扱いを振り返るきっかけにもなる。鳥は、私たち人間の身近にいる動物のひとつである。人間だけが地球上に住んでいるのではない。いろんな動物が住んでいる。私たち人間は、そんな動物たちと共存していかなくてはならないのだ。
そのきっかけが、身近にいる動物たちのことを考える──つまりは鳥の巣箱でもいいのではないか。
小さなことでも、ほんの少しだけ、彼らのことを考えられたら、どれだけ私たちは地球にやさしくなれるだろう。
本書はこう締めくくる。
これからは みなさんが、
ベルレプシュだんしゃくのように なってみませんか?
巣箱の歴史や、現在の巣箱の位置づけについて書かれた絵本
巣箱について書かれた本なので、物語性はない。
読み聞かせをしても、興味を持つ子と持たない子が分かれてくるだろう。
読み聞かせ用というより、一人読みに適した絵本である。
中学年向け。