あらすじ
動物のうんちを研究しているうんたろさん。
毎日、朝早くから、うんちの見回りをする。
そこへ、ロバくんがやってきて、「道しるべがなくなって孵る道が分からなくて困っている」と訴えられる。
かばは、道しるべに、道にうんちを落としていく習性がある。
そのうんちが、なくなってしまっているというのだ。
うんたろさんはロバくんと一緒に、うんち探しに乗り出す。
うんちを泥棒したのは、一体誰……?
うんちについての真面目なお話
『うんたろさん』シリーズの二作目。
実は、こちらのほうを先に読んで、一作目の『うんたろさん』を読んだのだけど、一冊一冊で話が独立しているので、どちらから読んでも支障はなかった。
動物のうんちの研究家である「うんたろさん」を主人公にした、えんちをメインに扱った絵本。
うんち、というと笑いをとる種類の絵本が多いが、本書は真面目に「うんち」を扱った絵本である。
「うんち」は大切なもの、「うんち」はいろんなものの栄養になる……と教えてくれる。
そこには茶化すような文章はなく、真正面から述べられていて好感が持てる。
うんたろさんがフィールドワークに出ると、困ったかばくんが声を掛けてくる。
聞けば、「道しるべがなくなっていて、家に帰る道が分からなくて困っている」とのこと。
本書を読むまで知らなかったのだが、かばは、うんちを道しるべとして道に落としていくのだそうだ。
そういった専門的なことを、うんたろさんは分かりやすく説明してくれる。
そしてそれを鍵にして、物語が展開していくのだ。
「うんち」で笑うところなどどこにもない。ひたすら真摯に分かりやすく、うんちのことが語られる。
かばくんのうんちが行方不明になったせいで、かばくんは帰り道が分からず困っている。
うんたろさんは、事件解決に乗り出すのであった。
物語の途中では、動物たちのさまざまなうんちの利用方法が出てくる。
うんちで出来た巣、うんちできのこを育てるシロアリ……うんちを食べ物にしている虫だっている。
たぶん、知ろうと思わなければ、ずっと知らないままだったのではないだろうか。
知られざる「うんち」の世界が真面目に描かれている。
ついに見つけた、かばくんのうんちを盗った生き物。
何とかかんとかして、うんたろさんは、かばくんうんち盗難事件を解決する。
最後は、うんたろさんの「うんち」への愛が伝わってくるようだ。
これを読むと、動物それぞれ「うんち」の形態の違いや、「うんち」の役割などを知ることが出来て勉強になる。
作者の「うんち」に対する愛情(?)も伝わってくるような一冊だ。
「うんち」で笑いをとる絵本もいいが、学術的な面を持つこういった絵本も必要だと思う。
易しく描かれた学術のような……
子ども向けの「うんち」学術書のようなこの一冊。
対象は幼児から低学年だろう。
読み聞かせをすると、「うんち」の単語に反応して笑いが出るかもしれないが、笑いをとるような内容ではなく、いたって真面目な動物や虫の生態に基づいてのお話である。
盛り上がりを期待して読み聞かせをすると、「ちょっと違う……」となるかもしれない。