あらすじ
あるところに、「いそふらの国」という国がありました。
この国は、大豆を育て、大豆を食べ、みな健康に暮らしていた。
しかし、あるとき、新しく殿になった殿様が、「大豆禁止令」を出したから大変。
大豆を作るのも、食べるのも禁止され、困る国の民と畑の大豆。
納得がいかないと、畑に実った大豆たちは集まって城に向かったのであった。
そこで目にしたのは、衝撃的な光景だった。
なんと、殿様が、大豆を馬鹿にしているではないか……!
これに怒った大豆たちは──
ダイズレンジャー、ここに参上
こういうノリ、嫌いじゃない。
表紙のかわいらしいダイズレンジャーの絵を見て、ほんわか~する内容の絵本かと思ってたら……違ってた。
とても熱い内容だった。
まず、舞台は、「いそふらのくに」。
いそふら……!
とにかく、この国は、名前のとおり、大豆で栄えている国の様子。
大豆のおかげで、みんな健やかに暮らしていたそうな。
しかし、新しい殿様が、その平和を揺るがすお触れを出した。
──だいずきんしれい
これよりの だいずは
つくるのも たべるのも きんし。
そむいた ものは ろうやに いれる。──
大豆の栽培でほぼなりたっているような国なのに、こんなお触れ出して大丈夫なのか殿様。
案の定、国の民たちは「これからどうすればいいんだ……」と早くも路頭に迷いそうになっている。
それを聞いた畑の大豆たちは、納得がいかない。
畑を潰されるなんて、受け入れがたい。
そこで大豆たちは立ち上がった!
畑から、ぞろぞろと集まる大豆たち。
殿様の城では──
殿「大豆まずいしおなか膨れない。もっとおいしいものを国に広める。しょぼくれ大豆おさらばじゃ」
この言葉が、大豆たちの怒りを買った!
小さな大豆たちが集まって集まって……
「プロテイーン サポニーン
レシチーン オリゴトー
イソフラボーン!」「いまだ! がったい へんしん!」
きました! きましたよ、ついに!
この展開をぼくらは待っていた!
「みそブラック!」
「なっとうグリーン!」
「とうふレッド!」
「きなこピンク!」
「うすあげブルー!」
ダ イ ズ レ ン ジ ャ ー 参上ッ!
絵本の紹介でプロテインとかイソフラボンとか書く日が来るとは思わなかった……。
しかし、かっこいいぞ、ダイズレンジャー!
レンジャーたちは、それぞれのもち技で、殿様の家来達(さむらいたち)をやっつけていく。
追い詰められる殿様。無礼者、と刀を構える。
ダイズレンジャーは一歩も引かない!
「だいずを おとしめ、くだらぬ おふれで
ひとびとを くるしめるとは、このダイズレンジャーが
ゆるして おかぬ。かくごしろ!」「おからブリザード!」
みるみるうちに積みあがっていく、おから。
そこに現れたのは!
からくりダイズロボ!
すごいぞ、本当に戦隊物だ!
ダイズロボがどんな活躍をするのかは、実際読んでもらってのお楽しみとして、ダイズレンジャーとダイズロボのおかげで、大豆のすごさに気づいた殿様は、お触れを取りやめたのであった。
その後、殿様は、ダイズレンジャーの力を借りて、お城の庭に、みんなのためのダイズランド(遊園地)を作ったそうな。
「この国にふさわしい立派な殿になるため」に、なんで遊園地を作るのかよく分からないけど、観光資源で国が潤ったということでいいんだろうか。
謎のすごいパワー溢れる絵本だったけど、私が一番笑ったのは、最初太り気味でたらこくちびるに描かれていた殿様が、改心したあと、大豆を食べて、イケメンになったところかな……。
大豆パワースゲー……。
ダイズパワーで みんな ハッピー!
ノリノリの戦隊ものだった
大豆のすごさ、身体によいことを伝える絵本ですが、戦隊もの仕立てになっていて、読み物としても面白い。
戦隊物が好きな子は盛り上がるのではないでしょうか。
ノリと勢いがよく、テンポもいいので、読み聞かせも映えそうです。
低学年向け。