あらすじ
ここは人気のレストラン。
厨房では、たくさんのコックさんが忙しく料理を作っています。
一人のコックが、ハーブを細かくすりつぶしていました。
彼は、周囲を見回すと、こっそり、顔にハーブを塗りたくりました。
そして、彼は弱弱しく咳をして、体調が悪そうに振舞いだしたのです。
心配するコック仲間たち。
奥で休むようにすすめられて、コックは弱弱しく奥の部屋に向かいます。
奥の部屋に入った途端、コックは先ほどの弱弱しい振る舞いとは打って変わって、急に元気になってごろりと横になりました。
仕事をさぼるために、嘘をついたのです。
それを許せなかったのはコックがかぶっていた帽子。
帽子はコックの手にがぶりと噛み付くと、今までコックがついてきた嘘を大声で喋り始めました。
なんと、このコック、他にもいろいろと自分のいいように嘘をついていたのです……!
コックの帽子がついにキレた
シゲタサヤカ氏の絵本はこれまでにいくつか取り上げたことがあったが、今回も面白い。
再び舞台は人気のレストランの話なのだが、これが同じレストランかどうかは分からない。つながりがまったくないようなので、本書だけで大いに楽しめる。
人気のレストランで働く、一人のコック。
仲間のコックが忙しそうに料理をしている中、ハーブを細かくすりつぶしていたコックは周囲の様子を伺い……
すばやく顔にハーブを塗りつけた!?
そして、弱弱しく彼は言うのです。
「ゲホゲホ……、
どうやら かぜを ひいたみたいだよ。」
コックのひどい顔色に心配する仲間のコックたち。
少し休んだらどうか、と声までかけてくれます。
顔色が悪いのと、ハーブを塗りたくったのだと、だいぶ顔色の違いが出てると思うんだけど、大丈夫かな!
これ顔色が青ざめてるどころか、緑じみてるけど……。
コックは弱弱しく休んでくるよと言い残し、奥の部屋へ。
そしてしめしめといった顔をする。
そう、まあ分かってたけど仮病だったよね!
このコック、店一番の嘘つきコックだったのだ。
仮病を使って昼寝をしようとしたコックを許さなかったのは……なんと、コックの被っていた帽子!
お天道様が黙って見ていてもコックの帽子は黙って見ちゃいないぜ!とばかりに、コックに向かって、今までの悪行を大声で並べ立て始めるのである。
しかし、このコックの嘘とやらが斜め上すぎてツッコミ待ちとしか思えない。
・転んで卵を割った日には、「ひよこに かえって にげちゃいました。」
・料理を焦がした言い訳「タコが スミを はいたのです。」
・ケチャップを塗って怪我したふりして仕事をサボる
堪忍袋の尾が切れたコックの帽子、大声で悪行を並べ立てるものだからたまったものじゃない。
コックは何とか帽子を黙らせたい。
そこで、コックは、仕事に戻るから一旦黙ってくれ、と言う。
それを信じた帽子が黙った隙を見て、帽子の口を輪ゴムで縛り上げた……!
へへーん、うるさいのが静かになった、昼寝でもしよーっと、とコックはごろりと横に……。
こ、このコック、とことん性根が曲がっている……!
帽子は口を縛られているので何も言えない。
それをいいことに、コックは相も変わらず嘘をついては遅刻したり、自分のミスをごまかしたり……
本当に、最低なコックだよ!!!
しかし、悪行もさらけ出される日が来るのだ。
自力で口の輪ゴムをブチーン! ついでに堪忍袋の尾がブチーン!
みんなの前で、帽子がコックの悪行を全部残らず喋った……!
いやはや、嘘や悪行は、いつかは自分に返って来るもの──
人を騙したり、うそをつくことはいけませんなあ。
嘘つきコックは相応の報いを受けて、今はちゃあんと働いているんですって。
帽子の監視つきで。
テンポのいいコメディ絵本
とにかく、テンポがいい。
嘘つきで怠け者のコックが、最後に悪行ばらされるところなどはスカッとする。
独特な絵柄とこのテンポのよさが魅力の絵本だ。
読み聞かせ映えするだろう。
幼児、低学年向け。