あらすじ
うんたろさんは、動物のうんちや、トイレのことを研究している人。
今日も外に出かけると、早速うんちが見つかりました。
どうやらこれはウサギのうんちのようです。
上機嫌になったうんたろさんは、うんちの大切さを歌った歌を歌いながら、さらに歩き続けます。
すると、草の真ん中にうんちが。
これはゴリラのうんちです。
ゴリラは、いつも、朝になると自分の家にうんちをして、新しい家に引っ越すのです。
しかし……あれれ?
外にしてあるうんちが転がっています。どうしたのでしょう。
しばらくすると、ゴリラのお母さんが子どもを追いかけて飛び出してきました。
どうやら、子どものゴリラが、自分の家にうんちをするのは汚いといってうんちを外でしてしまうようです。
怒っているお母さんゴリラに、うんたろさんは「その子がうんちをしたくなるようなトイレを作ったらいいのでは」とアドバイスしてあげました。
すると……。
うんちを巡る、真面目な絵本。
真面目なうんち紹介本
主人公のうんたろさんは、動物のうんちやトイレを研究している。
本書は、うんちに焦点をあてた絵本になるが、その内容は博物学的な内容となっている。
うんち、と言えばそれだけで子どもたちにウケる魔法の言葉であるが、本書はその魔法に頼らずに、きちんとうんちは土にかえり、草や木の栄養になり、草食動物のご飯になることを最初に教えてくれる。
ページをめくると、うんちが出現する。
これは誰のうんちか、うんたろさんは教えてくれる。
おとなの私でも知らなかったことばかりで、面白い。
たとえば、ゴリラは毎朝、棲み処にうんちをし、新しい家に引っ越すとか、たぬきはうんちの上にうんちをする、など……。
確かに、うんちひとつで分かることは多い。だが、すすんでうんちのことを調べたりしない限りは、そんなことは分からない。うんちのことを詳しく詳しく調べる人は、その専門家ぐらいなものだろう。
本書はうんちを焦点にあてているが、うんちという笑いをとるわけでもなく、あくまで一つの自然の現象として描かれているのがとても好感がもてる。
うんちで揉め事が起きたりもするのだが、うんたろさんはそのたびに的確なアドバイスをして、動物達が気持ちよくうんちできるように取り計らってくれる。
恥ずかしくてうんちができないシマウマの子には、君のうんちを待っている草や土、虫などの話を丁寧にしてくれる。だから、うんちは必要なものだし、うんちをすることは恥ずかしいことではないと理を持って諭してくれるのだ。
ほかに、棲み処とは別の部屋にトイレを作る習性のモグラや、目立つところでうんちをするライオン、道しるべ代わりにうんちをするカバなど、おとなの私も目から鱗のうんちの薀蓄オンパレードである。
動物によって、こんなにもうんちの持つ意味が違うとは思わなかった。
うんちに詳しくなれる一冊である。
これはうんちというものをよく知るための良書だろう。
うんちについての正しい知識
うんち! といえば笑ってしまう子どもたちだが、この本は真面目にうんちについて取り扱った絵本である。
幼児、低学年向けだが、おとなが読んでも知らなかったことが書かれていて面白い。
読み聞かせも映えるだろう。
最初は「うんち」という単語だけで笑っていた子どもたちも、知られざるうんちの秘密に興味津々になるに違いない。