絵本の森

『おどるカツオブシ』──かつおぶしが踊り、歌う!

最後にかつおぶしが踊るのを見たのはいつですか

お好み焼きにかけたかつおぶしが踊る、ただそれだけの内容である。
確かにかつおぶしがひらひらするのは面白い現象だが、本当にそれだけの内容なのである。本当に。

お父さんがお好み焼きにかけたかつおぶしが踊る!
踊って踊って、踊りまくる!
この日が晴れ舞台と、かつおぶしたちが踊る!
いろんな格好したかつおぶしがいる! サンバの格好をしたやつもいる!
本文でも「ありえないのも」と書かれるほどだ!

耳を澄ますと聞こえてくるぞ……!?

かつおぶしが踊るばかりか、ついに歌いだした!

広大な海を泳いでいたかつお。
釣りあげられた行く先は……と、まるで演歌のような節とノリでかつおぶしが声を合わせて歌っている!
いろんな苦労、苦難を経て、かつおぶしになったんだね!
今日が最初で最後の晴れ舞台、歌って踊って飾ろうじゃないか、有終の美!

お好み焼きの舞台は絶好調!
歌えや踊れやの大盛り上がり!
そこへ青海苔が降り注ぎ、舞台は更なる高みへと……!

そうして、かつおぶしたちは、お好み焼きとともにおいしくいただかれたのでした。

 

……かつおぶし一つ一つに顔が描かれているため、見ようによってはちょっとホラーだし、盛り上がりが異様すぎて若干引いてしまったのは白状します。

 

異様なノリの絵本

お好み焼きにかけたかつおぶしが踊り、歌いだす……という内容の本。
あくまでかつおぶしがメインの、テンション高めの絵本である。
特に終盤の盛り上がりは……なんというか……すごい。

物語はほとんどなく、かつおぶしが自分の生い立ちを重ね合わせて歌う場面などは、完全に演歌の世界である。

幼児、低学年向けだが、このノリは独特なので人を選ぶだろう。