あらすじ
虫のホテルを営む、ホタル一家。
パパとママがお出かけするので、ルイとロイはホテルを任されました。
頑張るぞと張り切り二人。
カブトムシのお客さんがきて言いました。
「結婚記念日なのでお祝いを頼むよ」。
それからもお客さんがたくさんやってきて、ホテルは満室です。
ルイとロイは大忙し。
シェフのカマキリが、屋上で食事を作っていると、だんごむしの団体客がころころ転がって……ガシャーン。
料理とともに下へ落ちてしまいました。
大変だ、とみんなで下を見ると、そこには……!
虫のホテルで大騒ぎ?
虫ホテルを営む、ホタルの一家。
パパとママが外出し、ルイとロイが代わりにホテルを切り盛りする。
ルイとロイ、姿かたちはパパやママと同じだけど、二人だけで切り盛りするのは始めて。
……
……ん?
ちょっと待って?
ホタルって、幼虫時代と成虫時代、姿違うんじゃなかったっけ?
そんなこと言ったら、成虫の存命期間が短いホタルに、ホテルの経営は……っていうツッコミになってしまうので、とりあえず野暮なツッコミは忘れることにする。無粋である。ホタルとホテルを掛けてるとかそんな理由じゃない限り……。
ホテルには、いろんな虫が宿泊している。
カブトムシ、だんごむし、カメムシ、ナナフシ、テントウムシ……。カブトムシにいたっては、結婚記念日のお祝いをよろしく、とのこと。
ホテルの内装を一望できるページがあって、部屋ごとにお客さんの虫たちが何をしているのか分かる。お客さんだけではなく、従業員までも……。
結構広くて繁盛しているホテルだけど、子ども二人に経営はよろしくと出かけていったパパママ、本当に大丈夫なのか?
一抹の不安がよぎる。
絵の書き込みも多く、いたるところで思い思いに過ごしている虫たちを見ることができる。話の本筋とは関係ないおしゃべりも見ることが出来る。虫に疎い私は、どれがどれだか半分分かって半分分からない有様だが、虫が好きな子なら、すべて当てられるだろう。
そんな大忙しのホテルだが、カマキリのシェフがひとりで料理しているところにだんごむしの団体が転がってきて、ガシャーン!
このホテル、調理室がない。屋上で調理するという、ビアガーデン風のホテルなのである。
でもお客さん、基本的に厨房は立ち入り禁止ですよ!!
カマキリシェフが作りかけていた料理とともに、屋上から落ちただんごむしたち。
下を見下ろすと、ぬう……とでかいおばけが現れた!
最後は何とか無事にカブトムシの結婚記念日をお祝いすることができたし、パパとママは帰ってきてくれたし、めでたしめでたし。
ついつい、紙面の虫たちの他愛もない会話や行動を目で追ううちに、話の本筋を忘れてしまっていたけど、これ、かぶとむしの夫婦の結婚記念ケーキができるかどうかっていうところが落としどころだったんだね……。途中、だんごむし乱入や、おばけ騒ぎがあってすっかり忘れてしまってたけど……。
確かに、最初のほうに、カブトムシの旦那さんが「結婚記念日のお祝いを頼むよ」というようなことを言っていたっけ。
最後はみんな(カブトムシの奥さんには秘密)でケーキを作って、完成させたのをみんなで食べて、楽しい夜はふけていく……今度こそ、めでたしめでたし!
……いや、ちょっと待て。
だんごむし、君ら、どさくざにまぎれて完成したケーキを食べたい食べたいってねだってるけど、一度料理をダメにした詫び、入れてなくない?
ごめんなさいは? ねえ、ごめんなさいは?
虫好きのための虫のお話
虫のホテルというからには、虫がたくさん出てきます。
虫好きなかたは、楽しく読めるでしょう。
かなり絵のほうに台詞の書き込みが多く、話の本筋と関係ないものもあれば、後に本筋に関わってくるやりとりがこっそり描かれてあったりして、これは読み聞かせよりも一人読みのほうが面白い絵本かも。
低学年向け。