身近なだんごむしの生態を優しく説明するよ
だんごむしが大好きというおとなはあまり見ないが、だんごむしが大好きという子どもはよく見る。
おとなになっていく過程で、だんごむしの何がいけなくなってしまうのだろう。
うーん。
うーーーん。
やっぱり、裏側から、だめになっていくんじゃないだろうか。
だんごむしの裏側。
全然そんなの平気だよ、という人なら問題ないが、うぞうぞとしたものが苦手な人は検索要注意である。「だんごむし 裏」。
しかも、この裏側にメスは卵を産む。
全然そんなの平気だよ、という人なら問題ないが、うぞうぞと子どもが大量に出てくる姿は明らかにおとなには不評そうである。
でも上から……つまり表面だけ見るとまだかわいいな、と思うのは私だけではないはずだ。
丸くなるところもかわいいといえばかわいい。
この絵本は、そんなだんごむしに焦点をあてた絵本。
だんごむしの生態について述べている内容なのだが、写真の本ではない。ちぎり絵のような絵でだんごむしがかわいらしく表現されている。これだと、だんごむしのようなリアルうぞうぞ系がダメなおかあちゃんおとうちゃんにも大丈夫である。
ちなみに私は本物のだんごむしを素手で触れるぐらいなので、特に写真でもちぎり絵でもウェルカムである。……が、裏側の写真は食事時には見たくないかもしれない。
それから、たんごむしによく似たわらじむしというのがいることを、小学校高学年頃まで知らなかったので、わらじむしを一生懸命まるめていた。わらじむしからすればとんでもない人間であった。
身近にいる虫、だんごむし。
子どもにとって、一番捕まえやすくてかわいい虫といえば、だんごむしだろう。そんなだんごむしの生態をよく知るいいきっかけになるのかもしれないのが、この絵本だ。
だんごむしはいろいろなものを食べる。
植物や死んだ虫、お菓子の食べかす、新聞紙、段ボール……ここまでよく食べるとは知らなかった。せいぜい、植物と死んだ虫ぐらいだと思っていた。
しかも、驚いたことに、時々、石やコンクリートを食べないと、身体がうまく育たないらしい。
石はともかく、コンクリートを食べるのか、だんごむし……。
この絵本読んで最初のインパクトである。
だから、だんごむしは、人間の生活しているそばで生息しているのだという。なるほど。
ちなみに、だんごむしは脱皮で大きくなっていく。
後ろ半分を脱ぎ、その脱いだものを食べてから、次の日に前半分を脱ぎ、脱いだものを食べる。
脱皮の皮をおしりにくっつけたままのだんごむしを見かけたことがあったが、あれは脱皮したてのだんごむしで、まだ皮を食べていなかったということらしい。皮には栄養があるので、だんごむしは脱皮した皮を食べてしまうのだそうだ。あのとき、その脱いだ皮を珍しいなあとか何とか言ってお尻から引き剥がしたのだが、たんごむしからすると、とんでもない人間だったに違いない。悪かった、だんごむし。知らなかったんだ。
だんごむしのかわいらしさと、生態に詳しくなれるこの絵本。
写真は使われていないので、生々しさはなく、比較的虫が苦手な子(またはおとな)も手にとりやすい。……と思ったが、改めて見返して見ると、うぞうぞ感はかなり表現されているので、ダメなかたはダメかも。
この本を読み終わったら、だんごむしを見つけたくなってくるのでは?
…………なるかな。なると思うんだけどな。なるだろうたぶん……。
温かい絵と、易しい文章でだんごむしの生態に迫る
上述したとおり、だんごむしの生態について描かれた本である。
これらの系統の本にありがちな写真を交えての解説は一切なく、全ページ通して、ちぎり絵でだんごむしや背景を表している。
それでもわりと細かく造形されているので、だんごむしが苦手なかたはダメかもしれない。
だんごむしの生態について述べた絵本なので、物語ではないが、読み聞かせもできる。
対象は幼児から低学年。
だんごむしが好きなかたは、ぜひ。