あらすじ
真夜中、忍者は行動を起こす。
極秘の任務を携えて。
抜き足差し足、忍び足。
息をひそめ、身をひそめ、耳を澄ませ……
いざ、目的のものを手に入れん!
スタイリッシュでかっこいい忍者の、その正体、目的とは……!
極秘任務を実行すべく、静かに屋敷に忍び込んだ忍者は……
夜、忍者が音もなく屋敷に忍び込む。
その様は、実にすばらしいプロの仕事だ。
シルエットで描かれた忍者がスタイリッシュでかっこいい。
忍者は極秘任務を負って、目的を果たすため、暗闇に紛れ込む……。
柄のある紙を使ったコラージュや、ヒモを使った絵は、忍者という題材に意外とマッチしていて、夜の極秘任務を果たそうとする忍者をかっこよく見せるのに一役買っている。
しかし、コラージュがアート寄りすぎるのか、ちょっと忍び込んでいる屋敷の様子が分からない。そうすることで、忍者のアクションを際立たせようとする狙いがあったのかもしれない。
シルエットの忍者がかっこよく任務に取り掛かっている。
そして目的のものを発見し、いざ!
……というところで、オチが待っている。
前半のスタイリッシュでかっこいい展開から、雰囲気は一転、ほほえましいものになる。
このオチは、ぜひとも、読んで確かめて欲しい。
……しかし、毎回思うがこういう面白い展開のとき、どうして登場人物の台詞は関西弁なのだろう? 関西弁、ずるい。
さて、忍者だ。
いまや忍者はMINJAとしてもそこそこ知名度が出てきた。なぜかアメリカなどでは、忍者に対するイメージが「なんかしらんがすごい」的な感じになっていて、日本に住んでおきながらさほど忍者文化に憧れを持たない私などは首を傾げるばかりなのだが、忍者ってすごい……んですかね……?
忍者という単語がタイトルに入っているので、日本の絵本だろうと思っていたら、そうではなかった。
作者はアメリカの人で、子どもたちと一緒に忍者ごっこをしたり書道をしたりしているそう。
ん、じゃあ、……
なんで登場人物が関西弁に訳されているんだ……。
これはこれで、オチが面白い感じに仕上がっているので問題はないのだけど。
絵の表現が面白く、話の結末もほほえましい絵本
まず面白いのが絵の表現。上述したが、コラージュ、ヒモ、等々、面白い画材を使用していて、大変画面がスタイリッシュである。
そして話の展開もほほえましくも面白く、序盤の雰囲気から一転するところは、「なるほどこういう話か」と腑に落ちる。
これはぜひとも見て欲しいほほえましい結末である。
文章量は少なく、幼児から低学年向け。
読み聞かせにも向いているだろう。
忍者が好きな子におすすめ。