あらすじ
町一番の人気のレストランに勤めるコックさんが、新しいなべを買ってきました。
しかし、このなべ……
料理中に笑っては中身を吐き出す、好き嫌いして嫌いなものを吐き出すという、とんでもないなべだったのです!
これではとても料理なんてできません。
買ってきたなべは、「料理をしてはいけないなべ」として、店のすみに置かれることになってしまいました……。
自由すぎるなべ
以前、『まないたにりょうりをあげないこと』を紹介したが、それと同じ作者による同じ系列の本である。
今回もハチャメチャぶりがおもしろい。
あるコックが買ってきた、なべ。
このなべ、実は笑い上戸だったのだ。
料理をしている最中におもしろいことがあったら、笑いだして、中身をだばー!
なべの側面の口から出るってどういう状況かわからないけど、じゃばー!
これじゃあ料理もへったくれもない。
だがまあ、笑い上戸ばかりは仕方ない。笑い上戸な人……というかなべだってあるかもしれない。
けど、このなべは、それだけではなかった。
なんと、このなべ、好き嫌いする。
トマトいやだ!
にんじんもいやだ!
エビもきらい!
嫌いなものは全部吐き出す!
ええい、料理にならんわ!と怒ると……
すねてフタをぴったり閉じてしまうというこの有様!
とんでもないなべだ。
当然だが、そんななべは戦力外通知。
このなべでは料理をしてはいけない、となる。自業自得である。
しかしそんなことでしょんぼりしないワガママなべ。
余裕をこいていましたが、一月、二月たつとだんだん……様子が……?
三ヶ月目、いつにもましてレストランが忙しいのをみて、なべは言う。
「いそがしそうだね~。
どうしてもっていうなら
てつだってあげても いいけど?」
こ、このやろう……人の足下を見やがって……。
こんな謎の上から目線で言われたら、私だったら手伝っていらんわ!と言うところですが、コックさんたちは背に腹は変えられない。
料理をしてはいけないなべで、早速料理を作り始める。
すると、おや……?
なべはなべなりに、料理をさせてもらえない期間がしっかりとお灸になっていたようで。
最後はなんだかほっとする終わり方をする。これから、なべはきちんと料理を作っていくだろう……
……まあ、私なんかは、一言詫びを入れろや、と思いますけどね。
独特のノリが健在
個性的な絵と、軽妙なノリの話が魅力の一冊。
何より、なべの性格がワガママでいい性格をしていておもしろい。
読み聞かせ映えする内容と絵だろう。
低学年向け。