あらすじ
ケーキ屋さんに行ってきたとブタくんに話すヤギくん。
何を買ったのかといえば、アップルパイを買ったとのこと。
だけど、ヤギくんはアップルパイを持っていません。
ブタくんに、アップルパイはどこにあるのかと尋ねられ、ヤギくんは、泥棒にとられたんだよ……と話し始めますが……。
二人の会話がかわいらしくもほほえましい、のんびりした気分になれる絵本。
空想が暴走するヤギくんの話
どこに行ってたの、とブタくんが聞くと、ケーキ屋でアップルパイを買った、というヤギくん。
でも肝心のアップルパイがどこにもない。
ブタくんがどうしてアップルパイを持っていないの、と尋ねることから始まる、ヤギくんハチャメチャな体験談……。
最初のほうは、ふんふんなるほど、泥棒にとられてしまったのかー、などと信じて話を聞き続けてみれば、次第にヤギくんの話は雲行きが怪しく……。
あー、これ、絶対嘘のやつじゃん!
……というほどにハチャメチャな展開になっていくというもの。
ヤギくんの作り話?をページいっぱいに描いたところは、迫力満点。
やれ山火事だの、ラクダが水を飲み干して湖が干上がっただの、大風で吹き飛ばされただの……ブタくん、いい加減、ヤギくんの作り話が分かっているだろうに、あえて嘘だろうと言わないところが随分優しい。
ヤギくんの話はどう考えても嘘なんだろうけど、全部が嘘なのかどうかが不明。
はじめからアップルパイを買ってなんかいなかったのか、それとも泥棒に盗まれたところまでは本当だったのか……
そもそも、全部が嘘だったら、「アップルパイを買いに行った」なんて嘘話を始める理由がないような気がするのだが……。
それとも、今からアップルパイを買いに行こうと考えていて、ブタくんを誘おうと思っているのだけど、なかなかストレートに誘えないがための作り話だったのかもしれない。ヤギくんの空想力には頭が下が……下がるのかな……。
なんにせよ、二人の話の掛け合いがのんびりしていてほほえましい。
しかし、後半のブタくん、「君の話、嘘だろ」と言わないけれど、ツッコミはきっちりしている。
そして開き直るヤギくんもある意味ではすばらしい。
開き直ったヤギくんに、ニヤニヤしながら改めて問う、ブタくん、本当は分かってるんだなあ。
「じゃあ、アップルパイは どこ?」
アップルパイを盗んだ泥棒をさがそう
アップルパイが盗まれたかどうかははっきりしないが、絵の中には、アップルパイを盗んだ泥棒がそこここに隠れている。
ヤギくんのすごい作り話を楽しむのも面白いが、泥棒を探しながら読むのも楽しい。
幼児向け、低学年向けだろう。