あらすじ
ちいさな1はひとりぼっちで寂しかったので、ほかの数字に会いに行く。
しかし、ゆく先々で、冷たくあしらわれたり、追い払われたり、話しかけることすらできずに終わってしまう。
ちいさな1はひとりぼっちのまま……。
そこに現れたのは……。
数字の不思議な話
グラフィックデザインに優れていると一部の間で人気を誇った一冊。
一時はプレミア価格がついて取り引きされていたこの本も、熱望する声によって復刻された。
グラフィックデザインについてはてんで素人で、良さもよくわからない自分が読んでも首を傾げるばかりであろうと思ったが、そんなことはなかった。
ちいさな「1」が、仲間や友達を探して、2から順に会いに行くという内容なのだが、いずれも、1増えると具合が悪いので冷たくあしらわれてしまう。
2と1で3、3たす1で4、と簡単な足し算を交えながら、展開していく。ちいさな1がかわいらしく描かれているうえ、冒頭で「どこにでもいる ちいさな1(おちびさん)に」と書かれているためか、ちいさな1が友達を探す小さな子のように見えて、全文通してかわいらしくも、小さな冒険の話となっている。
「2は なかまに いれてくれなかった、
ほかの だれひとり あそぼうと してくれない
ただの1で いることが どんなにつまらないか
わからないのかなあ」
ちいさな1の言葉には何とも寂しい気持ちが込められている。友達を探し始めた子や、はたまた友人づきあいの下手なおとななどには共感を得る一節だろう。
しかし、そこに現れた真っ赤なわっか。
そう、1は、わっかと友達になることで──
足し算を習い始めた時期の子に
グラフィックアートの世界で取りざたされるこのタイトルであるが、話自体もしっかりある。ちいさな1の冒険である。
足し算を習い始めた子にもおすすめだろう。
絵のほうであるが、グラフィックデザインについては素人目には何ともいえないが、単純にちいさな1はかわいく映った。
場面場面をシンプルに描いており、なにを描いているのかわからないといった箇所はない。
あくまで子どものために書かれた絵本の体裁である。
ただ、数字を登場人物に設定しているので、どことなく、抽象的な話にも聞こえる。
興味を持つ子と持たない子がでてくるだろう。