あらすじ
犬を飼いたい「ぼく」。
ママにお願いしてみるけど、ママはあれこれと理由をつけて犬を飼うことを許してくれない。
そんなある日、「ぼく」は「ドラゴンを飼いたい」とママに言ってみた。
ママは、「ドラゴンを見つけたら飼っていいわよ」と言ってくれた。
だから、「ぼく」はドラゴンを探すことにした。
いろんなところを探し回り、ついに「ぼく」はドラゴンを見つけ……。
将来大物になりそうな「ぼく」
この話は、一通り読んでから、表紙を見るとニヤリとする。だいたい、終盤のページで垣根越しに「Good job!」と言わんばかりに親指をたてている「ぼく」とドラゴンを見たら、「ぼく」の策士家ぶりに将来が末恐ろ……楽しみになってくる。
犬を飼いたい「ぼく」。でもママは、犬を飼うと家が汚くなるし、ほえてうるさいしと犬を飼うことを許可してくれない。ふつうに頼むんじゃなかなかママは「うんいいよ」と言ってくれない。だったら……。
いやあ、この子、いったい、何歳の設定なんでしょう。
しかし、「犬を飼う」より「ドラゴンを飼う」のほうがOKなママ、これもおもしろい。「ドラゴンが見つかったら飼ってもいいよ」なんて、たぶん、ドラゴンなんて早々見つかるものじゃないし、とたかををくくっていたのかもしれないが。
だが、ドラゴンは見つかったのだ。つれて帰ってきたときのママの顔を見てみたかった。
そもそもドラゴンがふつうにいるという世界観もおもしろい。
この世界のドラゴンは人間のようにふつうに食べ物を食べ、おもちゃで遊んだりするらしい。しかも、犬が嫌いだとか……。
偶然にも……犬が嫌いなんだ……とか……。へえ……。
つれて帰ってきたドラゴン、これがもう、やんちゃくれでやりたい放題する。
ママの堪忍袋の緒が切れたところで、「ぼく」はすかさず「犬がいればいいんじゃない? ドラゴンは犬が苦手だし」と持ち出す。この鮮やかな流れ、さすがだ。初犯じゃないな。
ドラゴンの行儀の悪さに辟易していたママは、「ぼく」の言い分をあっさり信じ、ついに、「犬を飼いましょう」と口にする。
念願の犬!
そうしてぼくは念願の犬を飼うことを達成し、めでたしめでたし、と相成ったのでした。
……もしかしたら、ママは「ぼく」の作戦に気づいているのかも……?
いや……でもそれにしては……。
見返しには「かしこいぼうや」と書かれていたけど、どっちかっていうと「策略家のぼうや」「抜け目ないぼうや」っていう感じがするけど、どうだろう。
注意深く絵を見ると
文章ではふつうにドラゴンは飼うのが大変で、犬を飼うことになった、という話になっているが、注意深く絵を見ていくと、「ぼく」が犬を飼うための作戦をたてていたことが感じ取れる構造になっている。
読み聞かせだけではなかなか気づかないだろう。
低学年向け対象。