あらすじ
11ぴきののらねこは、いつもおなかを空かせていました。
小さい魚一匹では、わけあって食べてもおなかいっぱいになりません。
そんなとき、おじいさんねこがやってきて、湖に住む、大きな魚のことを教えてくれました。
そんなに大きな魚なら、11ぴきのねこでもおなかいっぱいに食べられる。そう考えた11ぴきのねこは、大きな魚をつかまえに、湖を目指すことにしました。
さて、11ぴきのねこは、見事、大きな魚を捕まえることができるのでしょうか。
おなかいっぱい食べることができるのでしょうか。
生き生きとした11ぴきのねこ
言わずと知れた、絵本の傑作。
11ぴきのねこシリーズは、多くの人に親しまれ、愛されている。
グッズ化していたり、ラッピング車になっていたりと、本そのものは知らなくても、絵を見ればすぐにピンと来るはずである。
本書は11ぴきのねこシリーズの第一作目。
おもしろさはもちろん、かわいらしい猫たちのいろいろな仕草が生き生きと描かれ、まるでアニメーションのように頭の中で再生される。動きのある絵は、どことなく、手塚治虫のアクションシーンを彷彿とさせる。
単純な色しかついていないのに、魚がとてもおいしそうに見えることのマジック。あんなに猫たちが食べたがっている魚がまずいわけがない。
11ぴきもいればそれぞれに強い個性が与えられているのかと思えばそうでもない。大将のとらねこがかろうじてみわけられるぐらいだ。しかし、11のねこは11ぴきそろっての11ぴきのねこなのである。彼らが大きな魚にとびかかるとき、大きな魚に敗北を喫するとき、彼らは一丸となって、大きな個性を発する。それゆけ、11ぴきのねこ! といった感じに、感情移入してしまっている自分がいる。
本書は、冒険あり、アクションありの傑作だ。おまけに、ユーモアまでもがある。
わくわくどきどきの楽しいお話を読みたいときは、本書を強くおすすめする。本を開けば、11ひきのねこが生き生きとそこにいる。
起伏に富んだお話
起伏に富んだお話は、読み聞かせ映えしそうだ。
おそらく、保育園や小学校でも一度は読まれていることだろう。
見知った話でも、しばらく置けば楽しんでくれるのが子どもでもある。
一種の冒険ものとして、読み聞かせも盛り上がるだろう。
幼児から低学年向け。
愛らしいねこの絵に癒されながらも、おとなもわくわくして、それからクスッと笑えることだろう。