あらすじ
猫が家の中で昼寝をしていて、ふと、気づく。
「おや?」
この気配は……もしかして。
何かを感じ取る猫。
「そろそろかもしれない」
そして、やっぱりそれは訪れた……。
圧倒的な画力と、猫愛が生み出した、不思議で美しい猫の夜の本。
等身大の猫への愛に満ちた美しい絵本
ああこれは猫好きの作者が描いたんだな、とすぐに分かる絵本。
まず見たら分かる、表紙の猫のふてぶてしい顔。
かわいらしい!とか、愛くるしい!とか、そんなものを「俺は過去に置いてきた……」と言わんばかりの貫禄。
このふてぶてしさを愛情持って描けるひとは、真の猫好きに違いない。
もうね、どのページにも猫、猫、猫。
それがまたかわいらしいとか愛くるしいとかの猫じゃなくて、老練な、とかふてぶてしいとか、しっかりと生きてきた猫たちばかり。カメラ目線でにゃ~んとか言ってそうな猫は一匹もいない。
「もしかして……」
「そろそろかもしれない」
「まちがいない こんやだ」
みたいな思わせぶりな振りが続き、ついに訪れる、「そのとき」。
まさに圧倒的な猫の夜。
美しい猫の夜。
わりと今でも、猫の国がどこかにあるのではないかと思っている。
猫は何を考えているのか分からない。飼い主に見せる顔には、裏がありそうな気がする。
ねえ、人間には内緒にしてる世界があるんでしょう、と尋ねてみたくなる。
尋ねたところで、猫は小ばかにした顔をするんだろうけど。
本書は、そんな猫の世界を美しくも迫力のある絵で描いている。
猫好き、猫飼いのかたには一度見てもらいたいと思うほどの、圧倒的迫力。
空気の澄んだ夜、どこかの空き地でたくさんの猫が立ち上がって、ネコヅメの夜を見ている。
炯炯と光る金色の瞳をして。
人間には立ち入ることの出来ない、猫の世界がそこにはある。
迫力ある猫たちの集会を目撃しよう
リアルな猫が好きなかたは一見の価値あり。
猫の世界がそこに広がっています。猫以外のものは登場しないという、徹底振り。
迫力のある絵は、『いるのいないの』でも味わえましたが、この『ネコヅメのよる』でも健在。
文章も必要最小限で、絵をメインに楽しむ絵本になっています。
どことなく、子ども向けというよりはおとな向けに描かれた印象のある絵本。
物語性はほとんどありませんが、不思議な夜の目撃者になれます。