あらすじ
昔々、ある海の近くの城に、遊ぶことの大好きな殿様が住んでいました。
ある日、殿様は、外国からのお客さんに、クリスマスのことが書いてある本をもらいました。
喜んだ殿様は、その本を毎日毎日眺めていました。
クリスマスにはクリスマスツリー。
そう思った殿様は、家来を集めると、こう言いました。
「お城をクリスマスツリーにせよ!」
かわいらしい殿様がサンタさんを待ってあれこれ
サンタと殿様の組み合わせのタイトルがおもしろい。
ちょんまげにサンタ服、それに大きな袋。
なんという色モノ……失礼、斬新さ。
話の内容もおもしろくて、途中の展開で思わずクスッと笑ってしまった。
なにより、この殿様がかわいらしい。
クリスマスにサンタがやってくると知った殿様は、「お城をクリスマスツリーにデコレーションする」「煙突を100本たてる」「(くつしたじゃなく)足袋をたくさん用意させる」と、サンタさん待ち体勢万全。
サンタさんが来るのを楽しみにしている殿様は、とてもかわいらしい……が、それに振り回される家来たちが不憫。
しかもなかなか24日がこないからといって、カレンダーを……って、失礼、本では「誰かが」24日まで日めくりカレンダーを破いたと書いてましたね。
カレンダーを24日まで破いたのに、それでもサンタさんが来ないので探しに行く殿様。
いや、局地的には24日でもさあ……
世間的にはまだ19日だからさ……
でもそれがまたおもしろい事態を引き起こして、笑ってしまった。
そこで終わりかと思ったら、まだ続きがあって、いやあこの殿様はホントおもしろい。
一体、なにがどうしたら、自分がサンタさんになろうと思うのかよくわからない。
殿様、サンタさんを待っていたのでなかったの? どうしたの? なにがあったの?
みんなの喜ぶ顔が見たかったのか……?
うん、ここは、そういうことにしておこう。まさか、「おもしろそうだから」だったら、家来がかわいそうすぎて……。
オチが少し弱いなあと思ったら、裏表紙に続いていたのに気づく。
なるほど、そういうオチ。
よかったね、殿様。お大事にね、殿様。
生き生きとした殿様が愛らしい一冊
殿様に「愛らしい」という言葉を使う日がくるとは思わなかったが、確かにこの殿様は愛らしい。
文章も読みやすく、少な目。
話もおもしろく、一人読みもできるでしょう。
読み聞かせ映えしそうです。
幼児、低学年向け。
クリスマスの季節に。