あらすじ
テッサとアイナが木イチゴを洗っていたら、木イチゴの中から虫が出てきました。
びっくりした二人でしたが、その虫を殺さず、外に逃がしてやりました。
その後、二人は、木イチゴを採りに森に入ります。木イチゴ採りに夢中になりすぎて、気がつけば森の奥。
帰り道もわからなくなって、二人は途方に暮れます。
悲しくて、おなかも空いて、どうしようもありません。
「ああ、バターパンとお肉が少しあったら!」
アイナがそう嘆いた瞬間──
非常に童話的な話の展開で読後、安心できる
原作を書いたトペリウスは「フィンランドのアンデルセン」と呼ばれるそうです。
なるほど、読めば読むほど、とても童話的。
木イチゴの中から出てきた虫を、優しく外に返してあげた少女たちが、後にその善行のおかげで助かる、という話です。
テッサとアイナという二人の少女を主人公にしているからか、全体的にとてもメルヘンチック。
小さな命も大切にしようという心の優しさの大切さを、不思議な物語で説いています。
イラストも全部カラーで、暖かみのある絵柄です。
木イチゴの中からの虫の登場に、最初は驚いたテッサとアイナだったけれど、二人は虫が食べられたりしないようにと気をつけながら外に逃がしてやります。それと対照的なのが、弟のラウリ。
「ころしちゃえ!」
「ふみつぶしちゃえ!」
なんだか怖いんですが……。
テッサとアイナは虫を逃がしてやったことで、運良く森から帰ってこれたけど、もしラウリが行っていたら……。
全体的に優しく暖かな雰囲気の中で、唯一、ラウリが異彩を放っていました。……まあ、男の子ってそんな感じの子もいますけどね。
まるで童話の世界をそのまま表現したかのような
二人の少女、森、木イチゴ……そして不思議な奇跡。
童話的なキーワードとお話の展開には、逆に安心感を覚えるほど。
かといって、物語が単調というわけではなく、きちんと彼女たちの善行が、虫にとってどれほどありがたいものだったのか明らかになります。
善行によって、助けられる。
斬新な展開や、わくわくするような場面はありませんが、この不文律が果たされることによって、読後は優しい気持ちになれます。
イラストは多めですが、文章もやや多め。
内容的に、女の子が好むでしょう。
小学校中学年向け。
読み聞かせもできなくはないですが、一度で読み聞かせるには長いので様子を見て。
ただ、活発な男の子などはあまり興味を示してくれないかもしれません。