あらすじ
猫のワッフルは、どんなおもちゃを与えても見向きもしません。
しかし、あるとき、ワッフルは妙な形のものを見つけます。中には何かが入っているみたい……。
おもしろくなってきたワッフルは、その妙な形をしたもので遊び始めました。
その妙な形をしたものの中には、なんと、小さいひとたちがいた!
なんと、その妙な形をしているものとは、小さい人たちの乗り物だったのだ……。
ワッフルの攻撃により、一時退避を余儀なくされた小さい人たちの運命はいかに……!?
小さいものたちの勇気をたたえよう
作者の猫好きが伝わってくる一冊。
文章もほとんどなく、あっても「△!」とか「△▽!」とか違う世界の言語で描かれている。
コマ割りを使用し、吹き出しでしゃべらせているところなどから、絵本というよりマンガのような印象が強い。
前述したとおり、ほとんど文章がないので、内容は絵を見て物語を想像するしかない。
冒頭部分で、猫のワッフルがおもちゃに見向きもしない部分は台詞があるのでわかるが、以降は謎の言語をしゃべる異星人と蟻の台詞が主となる。
緻密でしっかりとした絵柄は、確かな画力を感じさせる。
迫力のある構図、スピード感のある動き。集中線を使わずにスピード感を出しているのはすごい。
話の内容は想像するしかないので感想が書きづらいのだが、きわめて壮大で小さな世界が広がっているのが感じられる。
本のタイトルがカラフルに『ミスターワッフル!』と書かれているので、猫主体の動物ものかと思いきや、猫は完全に強敵猛獣扱いで笑った。
猫のワッフルと小さいものたちの攻防が緊迫感をもって描かれており、ちょっとしたSF映画を見たような気分になった。
同盟を組んだ上でのおとり作戦が功をなしたところでは、何かのBGMが流れそうだ。猛獣ワッフルに勇敢にも立ち向かった小さいものたち。この戦いは語り継がれていくだろう……
……そんなふうに、この戦いが壁画になっていることなど、私たち人間は絶対知る由もないし、猫すら預かり知らぬことだろう。
そんな小さいものたちの世界をのぞき見るような感覚がおもしろい。
人間からすれば小さなことでも、もしかしたら、小さいものたちにとっては歴史的な一瞬……なのかもしれない。
見て想像して楽しむ絵本
前述のとおり、絵を見て物語を想像して楽しむ絵本である。
コマわりのページが多く、マンガのようにも見える。
これは想像力豊かな子は楽しんで読むだろう。
一人読みに最適。
想像力が衰えたおとなには結構な頭の体操になる。
内容的に、低学年には厳しい。
中学年からが対象だろう。
むしろ、猫好きのおとな向けともいえるかもしれない(ただし猫は猛獣扱いだが)。
読み聞かせはできない。
圧倒的な画力と、想像する楽しさが詰まった一冊。