あらすじ
朝、起きたとき、さやは宿題をするのを忘れていたことに気がつきました。どうしようかと思っているところに、今日の朝ご飯に納豆があることに気がついたさや。
さやは納豆が嫌いでした。
お母さんはさやの様子がおかしいのに気がついて、おなかが痛いのかと心配しました。
心配されると、おなかが痛くなってきたような気がします。
お母さんは心配して、今日は学校をお休みしなさい、と言いました。
心の中で喜ぶさや。
しかし、喜ぶだけでことは済まなかったのです。
なんと、さやはお医者さんにつれて行かれる羽目になってしまいました。風邪なんてひいてないのに、お医者さんに診察されたら、嘘だということがばれてしまいます。
さやは、病院の待合室で、困り果てていました……。
ずる休みをした女の子の不思議な話
ずる休みをしたときの罪悪感たるや、あれほど後々まで心の片隅に居座り続けるものはない。
良心をちくちくちくちくと攻撃してくるのだ。
慣れてくるとずる休みしても平気になってくる……というのはダメなおとなの言い分なのでここだけの話である。
さやとこんたはずる休みをしてしまう。しかも医者にまでつれてこられるほど、周りを上手にだましてしまったのだから大弱りである。
ずる休みがばれたらどうしようと、はらはらそわそわする二人を見ていると、初々しい気持ちになる。ダメなおとなが二人を見ると、そんな気持ちになるのである。
しかし、生きてきた中で、ずる休みをしたことのないおとななどいるのか?
……いるか。いるんだろうなあ、やっぱり。自分は見たことないけど。
案の定、さやとこんたのずる休みはこやぶ先生にわかってしまうのだが、このこやぶ先生がいいキャラクターをしている。ずる休みをした二人を叱る、ちゃんとしたおとなだ。
医者に「こやぶ」とはちょっとおもしろい。タイトルの「こやぶ医院」で勝手に藪医者の話なのかと思ったことにちょっと反省した。
このこやぶ先生、顔は怖いし人使いは荒いが、立派なお医者さんなのである。しかも、人間専門ではなく、誰でもどんなものでも診てくれるようだ。
結局、この本に登場する患者はみんな仮病で、こやぶ先生からすれば腹立たしいやらあきれるやらだろうが、さやはこやぶ先生の手伝いを通して、苦しいことから仮病で逃げるだけではなくて、何とかほかの手段を考えることを学ぶ。たとえば、納豆を食べられないなら、納豆チャーハンにしてみるとかだ。
苦しいこと、つらいことから真正面からぶつかっていくことも間違ってはいないし正しいことだが、時には迂回して、問題を違う方向からみて解決を考えてみることもまた、大切なことだろう。
最後に、さやはこやぶ先生に叱られたのだから、お母さんに本当のことを言って謝るとよかったかもしれない。お母さんにたっぷり叱られる前に、だ。
題材が身近で、挿し絵がかわいい児童書
挿し絵がかわいく、多めに挿入されている。カラーのものもあり、見ていて楽しい。
小学校低学年向け。
ただ、場面転換の仕方が独特で、章分けなどもしていないため、一部場面転換がわかりにくい部分がある。
たとえば、現在の話をしているところで、過去の場面に切り替わっていたり、唐突に事実を「~したと思いました」と書き出したりである。行を開けたり、イラストで表現はしているものの、低学年向けの児童書で場面転換が多いのは珍しい。
文章を読み慣れている子は大丈夫だろうが、そうでない子は混乱するかもしれない。