佐賀に住んでるすごいばあちゃん
島田洋七著作、『佐賀のがばいばあちゃん』の中からがばいばあちゃんの10の名言を選んでまとめた絵本。豊富なイラストと、二コマ漫画のようなページが必ず挿入されており、ばあちゃんの魅力がより分かりやすく伝わってくる。
読むと細かいことで思い悩んでいたことが小さなことに思えてくる。元気を与えてくれる一冊。
がばいばあちゃんは本当にがばい。貧乏だけど、卑屈なところが少しもなくて、毎日たくましく生きている。前向きで、笑顔が絶えない。がばいばあちゃんの生き方は一本芯が通っていて、ちょっとやそっとのことで揺らいだりくじけたりしないのだ。人の目を気にして、自分をごまかしたりしない。
豪快で開けっぴろげだけど、人を気遣うことも知っているがばいばあちゃん。
彼女の強さから学ぶことはとても多い。
がばいばあちゃんの人目を気にしない豪快な言動に、そばにいたら恥ずかしいだろうなあと思う部分もあるけど、そもそも、その恥ずかしいという気持ちは人目を気にする自分の中からわき出てくるもので、自分のやっていることに自信さえ持っていれば、人がどう思おうが気にすることではないのだ。
人の目を気にしてなかなか自分を出せない生き方をしている人たちにとって、がばいばあちゃんのオープンな生き方は、あらたな生き方の指針を示してくれるようだ。
おとなになると、失敗することに対して慎重になる。失敗したときのあれこれを考えて、挑戦することにも臆病になる。
それは子どものころとおとなのときではおかれている事情が違うからでもあるのだが、そのリスクを差し引いて考えても、子ども時代から遠ざかるにつれて、ほんの小さなことに対しても失敗をおそれて行動を起こすことにおっくうになってしまっているのも否めない事実ではないか。
だってもう私たちはおとなだから。失敗したら後が大変だから。恥ずかしいから。──そんな理由をつけて、失敗を避け、夢を持つことをあきらめることもある。
私も臆病になっていたのかもしれない。
がばいばあちゃんの言葉がしみた。
「死ぬまで夢をもて。
かなわなくても、しょせん夢だから。
失敗しても落胆するな。あきらめるな。
いい方向にむかおうとしてやったことなら、どんな結果になっても失敗はない」
子ども向け絵本のていをなしてはいるが
生き方、ものの見方などがテーマのこの本書だが、名言集の側面もあるので表現がストレート。
がばいばあちゃんはとても魅力的だが、児童が読んだとして、ぴんとくるかどうかやや疑問。人生の生き方や物の見方、受け取り方について、模索しはじめるのはもう少し長じてからのような気もする。
おとなには心にしみる名言が多数あるが、おとな向けの著書はすでに『佐賀のがばいばあちゃん』が出版されているので、そちらを読む人も多いだろう。
ほか、ジュブナイル向けにも出版されているようで、年齢にあったものを選ぶといいだろう。
そのため、本書の対象年齢がややわかりづらいところが残念だ。
はたこうしろう氏のファンは購入を検討しても損はしないだろう。