あらすじ
小さな町バッレビに住む、ラッセとマヤはクラスメートで同い年。
マヤの家の地下室で、二人は一緒に探偵事務所を開いていた。このところ、大きな事件もなく退屈していた二人だったが、そこへ依頼人がやってきた。
依頼人は、バッレビで一番のお金持ち、宝石店を営んでいるカラット。
彼は、深刻そうな顔つきで、二人に相談を始めた。
なんと、お店の売り物であるダイヤモンドが一日にひとつずつ、盗まれているというのだ。警察もお手上げなこの事件を、ラッセとマヤに捜査してほしいという。
早速、依頼を引き受け、ダイヤモンド泥棒を捕まえるべく、捜査に乗り出す二人。
果たして、事件は解決するのか……?
二人の少年少女が小さな町の事件を見事解決!
いろいろと疑問やツッコミの余地が残るが、思っていた以上にラッセとマヤがちゃんと探偵をやっていて新鮮だった。なんといっても、ラッセとマヤはまだ子ども。細かいツッコミは無粋なのかもしれない。
この小説は、人の死なない、探偵小説だ。そういった意味では安心して読めるし、殺意を生むようなドロドロした人間関係は出てこない。
警察でもお手上げだった事件を、子どもが開いた探偵事務所に持ち込む被害者の感覚がちょっとわからないが、児童書としては話の展開上、仕方ないともいえなくもない。
個性的な挿し絵が豊富で、その上本文を補完してくれるようなものもあり、はじめて探偵小説を読むという少年少女にはとても親切だろう。トリックや動機に関しては、特筆すべきところはないが、雰囲気はいわゆる探偵小説のそれである。
この物語においての魅力は、主人公であるところのラッセとマヤが、少年探偵団よろしく捜査に乗り出すところだろう。
小さな町バッレビを舞台に、二人が警察顔負けの捜査と推理を披露する。
容疑者に捜査がばれそうになったときのはらはらする場面や、機転を利かせてそれを脱するところなど、まさに子ども向けでありながら海外の推理小説を読むようである。
そしてラッセとマヤが見事に事件を解決するところは、探偵小説のカタルシスを味わえる。
探偵にあこがれる子どもたちはどの時代にもいて、愛読書は決まって推理小説なのだなあ、というほんわりした気持ちになった一冊だった。
内容は探偵小説だが、難解さはほとんどない
内容は難しくなく、子ども向けに分かりやすく書かれている。小学校中学年頃から読もうと思えば読めるだろう。内容は王道をいく探偵小説なので、好き嫌いはどうしても分かれる。
児童書とはいえ、海外ミステリーの雰囲気はしっかりとある。海外ミステリーの入門書としては最適かもしれない。