あらすじ
二丁目のおそばやさんに置かれたまねきねこのすずのすけは、ちょっと退屈していました。
なにしろ、毎日毎日同じところに座って、ほこりだらけの中、お客さんを呼ぶだけなのですから。
ある満月の夜、すずのすけは思い切って外に飛び出しました。
初めて外に出たすずのすけは、もううれしくてうれしくて仕方ありません。
ほかのお店のまねきねこを誘って、みんなで夜の町に繰り出します。
町外れの公園で、楽しく遊んでいたすずのすけたちですが、そこへ突然……。
版画絵が優しい、まねきねこが主人公の本
色味を抑えた版画の絵がいい味を出している一冊。
あたたかみのある版画絵で描かれた商店街は、古きよき昭和時代の、とつけたくなるようです。
まねきねこを主人公にした『そばやのまねきねこ』は、そのタイトルのとおり、まねきねこが主人公。名前はすずのすけと言います。そばやさんに置かれたまねきねこです。
まねきねこ、よく見れば愛嬌のある置物ですよね。由来を調べたらおもしろいかもしれません。
この本には、すずのすけ以外にも、いろんなお店からまねきねこが登場します。めがね屋のまねきねこ、パン屋のまねきねこ、銭湯のまねきねこ、布団屋のまねきねこ……。
めがね屋のまねきねこはめがねをかけていたり、銭湯のまねきねこは頭に手ぬぐいをおいていたりと、個性的でかわいらしい姿があたたかみのある版画絵で表現されています。
実際、まねきねこにもいろいろ種類があって、前足を片方あげて手招いているものもあれば、両方の前足をあげて招いているものもあり、バリエーションは豊富なようです。『そばやのまねきねこ』に登場するようなまねきねこも存在するかも……。
月夜の晩に動き出したまねきねこたち。
のびのびと羽をのばすまねきねこたちに襲いかかってくるのは、……なんとまあ。ねこなのに。
一晩のお祭りは、まねきねこたちのリフレッシュになったよう。これからも彼らはがんばってお客さんを呼んでくれることでしょう。たまーに、満月の夜にみんなで騒いでいるかもしれませんけれど。
この本を読んだら、店の片隅に置かれているまねきねこに優しい視線を向けたくなるかもしれません。
色数が少ないため、全体的に地味な印象を受けますが
夜が主な舞台なので、色数が抑えられているのも雰囲気が出ていると思います。主人公のすずのすけの首輪のみ、赤い色がついているので、紙面ですぐ見つけることができます。
まねきねこが縁起物であることや、お客さんを呼ぶ力があると信じられていることなど、読み聞かせの場では話のネタになるかもしれません。逆をいえば、まねきねこが何なのかわからないと、いまひとつ感情移入ができないかもしれません。
内容は幼児、低学年向け。
特徴的な版画の絵は好みが分かれるかも。