あらすじ
満月の夜のこと、砂漠に生えていたサボテンのぼうやは、ひとりぼっちは寂しいので仲間を探しに行こうと思い立ちます。
町まで出たサボテンぼうやですが、サボテンなので、あまり周りの人は親切ではありません。とげがちくちく刺さりますし、サボテンが歩いているなんて滅多にあることではないからです。
ぼうやはあちこち仲間を探しますが、一向に仲間は見つかりません……。
しかし、ぼうやにとって見るもの聞くものみんな珍しいものばかり。プロレスのポスターを見て、プロレスってなんだろう?と思っていると、ギターをしょったおじさんが声をかけてました。
「おい、ぼうや。プロレス、好きか?」
小さなサボテンぼうやの冒険
小さなサボテンぼうやが、あるとき、ひとりぼっちで寂しいと思い、仲間を捜しに旅に出ます。小さいながらも意志を持ったサボテンぼうやが自ら埋まった足を地面から引き抜き、歩き始めたとき、彼にとっての大冒険が始まりました。
豊富な挿し絵の中には、カラーのものも多数、コマ割でマンガ風に表現しているところもあり、見ているとサボテンぼうやの頑張りが愛らしく思えてきます。意外に行動力があって、実行力のあるサボテンぼうや。ひとりぼっちでもくじけることをしりません。
だが、サボテンぼうやは、あくまでもサボテン。サボテンが動いているところを見て、ほかの人たちはびっくり。車に乗せてもらおうとしても、おばけだ!といって逃げられてしまいます。
何とか町にたどり着いたサボテンぼうやはみんなに好奇の目で見られますが、そんなことは気にしないサボテンぼうや。前向きで好奇心いっぱいのサボテンぼうやがかわいい。電車に乗ったり、動物園に行ってみたり、ずんずん思ったほうへ進んでいく潔さや屈託のなさは愛らしく思わずいられないでしょう。
途中でギターをしょったおじさんと出会い、なぜかプロレスに出場することに……もう本当にはちゃめちゃでおもしろい。ぼうやがプロレスラーに勝てるのか?なんて無用な心配。何となくうまくいって、何となくおさまるようにおとまるのです。
最初おじさんに出会ったとき、なんだか胡散臭そうなおじさんだなあ……と思ったのですが、それも最初のうちだけ。終盤のオバケの村での話では、ぼうやとおじさんが固い絆で結ばれたことがわかって、ほんわりします。サボテンであるぼうやをぎゅっと抱きしめるおじさん。もちろんとげがちくちく刺さって痛いのですが、それでもぼうやを抱きしめる場面は、うるっときます。
でもおじさんがかけがえのないおじさんになったのは、サボテンぼうやの勇気がなせたたまもの。おじさんを助けたい一心で、ひとりでおばけの巣窟に飛び込んでいったのですから。
勇気を出して行動を起こしたことで、サボテンぼうやは一人で荒野に生えていた頃とは違って、いろんなことを知り、いろんなものを見て、おじさんという旅の友を得ることができたのですね。
ただ読むだけでも楽しい、『サボテンぼうやの冒険』。
わくわくするような展開が次々待ち受けている上に、カラーの挿し絵やコマ割のページなど、紙面上でも変化があって飽きさせません。
結構とぼけた会話のやりとりもあって、くすりとするところも。
ラストの場面は希望が燃えるようでいいですね。
「さあ、しゅっぱつだ。」
「こんどは、どっちへいくの?」
「あっちさ。」
おじさんは、のぼる太陽のほうをゆびさしました。
ぼうやの、「こんどは」という言葉。
これからの冒険を思わせるとともに、おじさんに対する信頼が見えるようです。
サボテンぼうやの冒険はまだまだ続く。おじさんと一緒に。
これからもいろんなものを見て聞いて、ぼうやは知恵と勇気をはぐくんでいくんだろうなあ。
挿し絵が豊富で見ていて楽しい一冊
挿し絵は豊富で、コマ割した漫画のようなページもあり、読みやすく楽しい内容になっているのですが、思ったより字が小さく、簡単な漢字が読めるようになってからが対象です。
内容は低学年向け。