絵本の森

『せんたくかあちゃん』──強くたくましい母ちゃん!

なんでもごしごし洗っちゃう頼もしいかあちゃん!

 

 

あらすじ

 

洗濯が大好きな母ちゃんがいました。
天気がよかったので、うち中のものをたちまち洗濯してしまいました。

もっと洗うものがないかと、子どもたちに言います。
「なにか あらうものを さがしといで」

 

いろんなものをごしごし洗う母ちゃん。
子どもたちも、ねこもいぬもにわとりも……何でも洗濯!

庭の木や森の木に物干しの縄をはって、洗ったものを全部干します。

 

すると、そこへ、干した子どもたちや動物のへそを狙って、かみなりさまが雲に乗ってやってきました。

ピカッ バリ バリ バリッ

かみなりさまが落ちてきました。
しかし、かみなりさまは、物干しの縄に引っかかってしまいます。

 

かみなりさまに何しにきたのか問う母ちゃん。
目的はへそだと答えるかみなりさま。

それを聞いた母ちゃんは、かみなりさまを……

 

 

前向きになれる絵本

 

こんな頼もしい母ちゃんがいたら、何も怖くない。
そんなほほえましくも元気の湧いてくる『せんたくかあちゃん』。

 

太めの体系に、太い腕で、たらいに洗濯板で洗濯物をごしごし。
いまどき、たらいと洗濯板で洗濯をする母ちゃんはいなさそうだけど、何でもごしごし洗っちゃうところ、なんてエネルギッシュで豪胆なんでしょう!
中には、ええ!?それを洗濯するの!?と驚くようなものもありますが、そんなことこの母ちゃんにはこだわる部分じゃないんです。

ごしごし洗って、綺麗になったら、ぜーんぶお日様の下に干して……
庭の木から木へと物干し縄を張る母ちゃん、その行動力に脱帽。そして洗ったさまざまのものをちゃーんと干す母ちゃんにも脱帽。

 

かみなりさまの不測の事態にもちっとも動じないところ、本当、昔ながらの肝っ玉母ちゃんって感じで懐かしい。今だって肝っ玉母ちゃんはいるとは思うんだけど、やっぱり昔ながらの、って思っちゃうの、なぜなんでしょうか。

 

元気に元気、常に前向きで、パワーにあふれた『せんたくかあちゃん』。
頼もしいなあ。元気を分けてくれるみたいだなあ。
カラッと晴れた空みたいな人だと思います。

 

かあちゃんの魅力もさることながら、話も起伏があって純粋に面白い。
最後の、かあちゃんの「よしきた まかしときい」の台詞が頼もしくて素敵です。
きっと、この母ちゃんなら、どんなトラブルにも豪快に立ち向かっていくのでしょうね。

 

最後の最後まで笑顔の絶えない、前向きで明るい気持ちで詠み終えられる絵本だと思います。
古い絵本ですが、イラストも絵も全然古ぼけたところがありません。今もなおパワーにあふれた一冊です。