『ぼくは王さま』──ちょっとワガママでちょっと偉そうな王さまの話

絵本購入ナビ ぼくは王さま (新・名作の愛蔵版):寺村 輝夫

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文字の本入門におすすめの本。
ちょっとばかりワガママで偉そうな王さまの愉快な話が四つ。

 

短編四つ。どれから読んでも大丈夫。

 

ちょっとワガママでちょっと偉そうで、ちょっと自分勝手だけど、素直で優しいところもある王さまが主人公の楽しいお話が四つ。

【簡単なあらすじ!】

第一話 ぞうのたまごのたまごやき

王さまのうちに王子さまが生まれました。

これはお祝いをせねばならんと思った王さま、国中の人たちをお城に集めてごちそうをふるまおうと考えます。ごちそうは自分の大好物であるたまごやきにしようと考えます。

でも国中の人に、たまごやきをごちそうしようと思ったら、たくさんたまごが必要です。でもそんなにいっぱい、たまごはありません。

考えた末、いいアイデアがピコーン!
そうだよ、ぞうのたまごならでっかくていいんじゃない!? めっちゃいい考え!

早速、ぞうのたまごを探しにGO!

 

第二話 しゃぼんだまのくびかざり

しゃぼん玉遊び初体験の王さま。
しゃぼん玉があんまりきれいなので、首飾りにしようと思いつきます。王さまはすぐに壊れないしゃぼん玉を作れと命じます。そんな無茶な!

なんとかかんとか出来上がった丈夫なしゃぼん玉。でもやっぱり壊れてしまいました。
すると、そのしゃぼん玉の中から子どもが出てきて、しゃぼん玉の首飾りの作り方を教えてあげるといいます。

すごーく苦労するけど、王さまががんばればできるとの話。なになに、まずは畑を作れ? えっ……畑?
よーし、宝物ができるならとまじめに頑張る王さま。
その努力は報われるのでしょうか?

 

第三話 ウソとホントの宝石ばこ

王さまは時々、ウソをつきます。ウソをついたら、宝石箱にそのウソをしまっていました。

自分の都合のいいようにウソばっかりついて、そのたびに宝石箱にウソをしまっていたら、ついに宝石箱の中がいっぱいになって、これ以上ウソが入らなくなってしまいました。
しかも、壊れてしまったみたいで、しまっておいたウソが言葉になってはみでてくる始末。これはまずい! ウソがバレるぞ!

王さまは宝石箱を捨てに行くことにしました。
夜中、城を抜け出し、川へ宝石箱をポイ。
でも、……あらら、宝石箱が流されて帰ってきたではありませんか。中を開けてみても、ウソは入っていません。ウソは川に流れていってしまったのかしら。

これでまたウソがつけると喜んだのもつかの間、なんと、この宝石箱は知らぬ間に進化を遂げていたのです!

 

第四話 サーカスにはいった王さま

たまごが好きな王さまは、たまごを食べ過ぎておなかを壊しました。おなかは確かに痛かったんですけれども、注射が嫌な王さまは変装をして城から逃げ出しました。どんだけ注射が嫌なんだ

お城の外の世界のことを知らない王さま、親切に声を掛けてくれる人にも偉そうだし、お金のことも知りません。自分は王さまだと威張るのですが、変装しているため、みんな王さまのことが王さまだと分かりません。

その頃、お城では、王さまがいなくなったことが発覚。
捜索隊が組まれ、みんなが王さまを探しに……。

ひょんなことから、サーカスの一員であるアリと知り合う王さま。アリは自分が小さすぎて、サーカスで芸をしても誰も見てくれないと嘆いています。アリは王さまにひょうきんなダンスを見せてくれます。王さまはそのダンスが面白くて、真似して踊りだしました。

その時、サーカスのテントが騒がしくなりました。
おや、誰かがケンカしているようです……?

 

 

さすがロングセラー、話が面白い!

 

1979年という古い児童書ながら、現在まで愛される、寺村輝夫氏の『王さまシリーズ』。なんと、必読図書にも選ばれたこともあるようです。必読。すごい。本書は、そのシリーズの一作目にあたります。

なんといっても王さまのキャラクターがいい味を出してます。
ちょっとワガママで、偉そうで、でも素直なところもあったり、優しいところもあったり……。
前書きにはこう書かれています。

どこの おうちにも
こんな 王さまが
ひとり
いるんですって

……一体誰のことでしょうか。誰のことなんでしょうね? ニヤニヤ。

話には屈託がなく、純粋に物語として面白い。

不思議なアイテムが出てきたり、張られた伏線がちゃんと回収されていたりします。物語の基本的な面白さを押さえているからこその、読み継がれるシリーズなんですね。

また擬態語が今でも新鮮。1979年からいまでも新鮮、これってすごいことだと思います。

タララップ トロロット
テレレッテ タッタッター

これ、分かります?
らっぱの合図なんです。
他にもオルゴールの音色や、しゃぼん玉を吹くときの音の表現が新鮮です。

 

やっぱり私の一番のお気に入りの話は、第一話の「ぞうのたまごのたまごやき」。
だって、偉いおとながみんなして、ぞうのたまごを探す話ですよ。面白くないわけがない。
ねえねえ、ぞうはたまごを生みませんよ!!って。
オチが分かっていても、ニヤニヤしながら読める一篇です。

 

それに、王さまと同じたまご好きとして、

「たまごやきが一ばんうまいよ。あまくってふーわりした、あったかいのがいいね。」

なんて、たまごやきは甘くない派の私でも、思わず想像しておなかが減る。

この話は絵本化もしていて、物語の楽しさを知ってもらうにはうってつけの一冊です。

 

 

初めて児童書に触れる入門書としてオススメ

 

説教くさくなく、物語を純粋に楽しめる本として、初めて字の本を読むという子にオススメ。
第二話から第四話までの短編はやや長い印象がありますが、好みが合えば楽しく読んでくれるでしょう。
新書版も出ています。

新書版

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