あさづけきゅうりとたくあんがひょっこり道で出会いました。
二人は、今日は「うめじい」の誕生日だねと話をはじめます……
「うめじい」って一体何歳？
「ねえ、うめじい なんさいだか しってる？」
話題は誕生日の話から、「うめじい」の年齢の話になりました。
「うめじい」、一体何歳なんだろう。
うわさでは２００歳だっていう話だけど……。
そこへ、双子のらっきょうがやってきて、「うめじい」はさらに５００歳らしいよと話し始めます。
またまたそこへせんまいづけがやってきて、「うめじい」の年齢は１０００歳だという話が出てきます。
一体、「うめじい」は何歳なんだ？
そこで、「うめじい」本人に聞く事にしたあさづけきゅうりたち。
「うめじい」はその名前のとおりに、年をとったうめぼし。縁側でお茶を飲みながらのんびりしています。その「うめじい」に、あさづけきゅうりたちは一体何歳なのかと質問しました。
「あのさあ、うめじいって なんさいに なるの？」
「ウッスラポン」
「うめじい」の「うめことば」は難しくて、あさづけきゅうりたちには何を言っているのか分かりません。
そこで、みんなは、「ものしりのつけものいしのじっちゃん」を呼んでくることにしました。
つけものいしのじっちゃんとうめじいが話し始めます。
さあ、うめじいは一体何歳なのでしょう。
うわさの通りに、１０００歳なのでしょうか……？
みんなに親しまれるうめじい
つけものいしのじっちゃんは、「うめじい」が昔何をしてきたのかを聞き出してくれます。
よく働いたし、勉強もしたし、旅もしたし、運動もしたし、恋もした……
……あれ？ で、歳は一体いくつなの？
としは……
「うめじい」いわく、「忘れた」とのことでした。
あらら。つけものたちはずっこけそうになりました。
それはそれでおいておいて。
つけものたちはうめじいのお誕生日を祝う準備をすることにしました。
大きなバースデーケーキには、数え切れないほどのろうそくをたてて、「うめじい」がろうそくを吹き消します。
「うめじい」の「うめことば」は難しくて、つけものいしのじっちゃん以外は何を言っているのか分かりません。でもみんな、「うめじい」のことが大好きなのが伝わってきます。誕生日プレゼントをもらったときの嬉しそうな「うめじい」の顔！
歳を取ると、言葉も不明瞭になって、何を言っているのか分からなくなることも多くなりますよね。でも漬物たちはそこで諦めたりしません。つけものいしのじっちゃん呼んで、「うめじい」が何を言っているのか一生懸命知ろうとします（結局歳は分かりませんでしたけど、ね）。
誕生日を祝ってもらった「うめじい」はとっても嬉しそうな顔をしているけれど、車椅子を押す漬物たちもとても嬉しそう。年齢を超えて、親交を持てるということはとても素敵なことだと思うんです。にこにこしながら車椅子を押せるなんて、損得のない優しい関係の表れですよね。
「ウッキラポー」
私も「うめことば」は分からないけれど、「うめじい」がとても嬉しそうなので、心がじんわり温かくなりました。ありがとう。
敬老の日に読んでほしい一冊
これはぜひとも敬老の日に読んでほしい一冊。読み聞かせにも向いているでしょう。
小学校低学年あたりが対象です。
イラストのタッチも温かく、親しみやすい画風。
温かい絵本でした。
