夜になると開く宝石箱の中にいるおしゃれなねこ、ジュエル。
したくを整えると、今夜もお散歩へ。
散歩の途中で素敵なお店に出会い、ジュエルは「自分も何かを作りたい」と思うようになります。
「でも… なにを つくれば いいのかしら?」
懸命にモノを作るということ
ジュエルは素敵なものをつくる動物たちに出会い、自分も何か作りたい、と思うようになります。
素晴らしいものを目の当たりにして、「自分もやってみたい」と思うことは実はとても素敵なことだと思うんです。それは自分の中の可能性の一端なのですから。
モノづくりの根本は、それを使う人が喜んでくれること。幸せになってくること。
モノづくりだけではなく、自分がしたことで誰かが喜んでくれたり幸せになってくれたらとても嬉しく思いますよね。
この『Jewel cat』は、「だれかをしあわせにすること」が「しあわせなこと」だと教えてくれます。一生懸命したことが、相手を幸せにすることはとても素敵なことですね。
最後のジュエルの嬉しそうな顔といったら!
丁寧なイラストと、不思議な展開
主人公ねこのジュエルのちょっと大人びた女性っぽいしぐさや表情がたまりません。最初はちょっとお澄まし気味の彼女ですが、終盤、相手のために一生懸命に努力する姿はツンとした雰囲気などどこにもありません。ただただ一生懸命に、相手のために努力する姿が描かれています。きっと手先が不器用なんだろうなあ…とは蛇足な想像でしょうか。
建物や小道具も繊細なタッチで描かれ、見る目を楽しませてくれます。
話の展開もちょっと不思議で素敵。
鏡の中を通って散歩したり、キラキラのこなが形作った階段を辿ってねずみのお店を訪れてみたり、細い路地の先の扉を抜けたら緑の森が広がっていたり……と、想像力をかきたてられる展開が魅力的。おとなでもわくわくします。
一ページの文章量は控えめ
一ページの文章量は控えめで、あくまでイラストがメインの印象。
小学校低学年でも十分に読めそうですが、話がちょっと長めなので、一人で読むには低学年の子は根気が必要になるかも。本のサイズが小さく、イラストも小さいものもあるので、一対複数の読み聞かせには向きません。距離の近い読み聞かせには向いています。
蛇足
はじめてみたとき、ジュエルはジュエルでもうさぎのほうの……を思い出したのは私だけではないはず。本書もどちらかというと女の子向けになるのかな。
毛を抜かれたときの「いたい!!」にちょっと笑ってしまいました。あれだけ抜かれたら、確かにまあ、痛いですよね……。遠慮のないねずみさん、素敵です。
同じ作者の『ねこのパンヤ』もおすすめ!
紹介ページも書きました。
絵本の中でも上位のお気に入りです。